1973年製造 ラックス 真空管プリメインアンプ SQ-38FD を所有している悪友Bからの故障修理依頼です。
骨董的な真空管アンプシステムを愛用している 無銭庵 仙人 と申します。くだらないブログですが骨董的な真空管アンプの修理過程と判断ください。時々本題とは異なる脱線する記載事項も発生しますが 愛嬌程度との過去録記載と判断ください。
片チャンネルからの音が出ないとの連絡があり 悪友Bの自宅の道楽部屋に訪問しました。悪友Bの道楽部屋は多数台の自作パソコンに埋もれた環境です。その部屋に問題の SQ-38FD が鎮座しており Selestion Ditton 25 セレッションのスビカーも同様に鎮座していました。やはりLチャンネルから音が出ません。アンプセレクター・スピーカーセレクターも工作され活用されていました。再生音源はPCからの音源がメインのようです。故障したアンプは15年以上前に小生が改修しています。故障確率の高い有名な出力トランス OY-15-5 が両チャンネルご臨終でした。ISO製 FE25-5 に両チャンネル交換して現在に至ります。その時カップリングコンデンサーのオイルコンはMFコンデンサーにほとんど交換してあります。購入後50年以上経過している真空管式プリメインアンプです。悪友Bの道楽部屋では分解点検できる場所ではないため 小生の隠れ山小屋に持ち帰りました。
早速隠れ山小屋に持ち帰り故障状況の確認作業です。本体木製ケースは取り外す前に故障状況の点検です。電源スイッチ以外は可動ていません。まずは現在使用していた AUX-2 に音源を接続しスピーカー端子は山小屋の常備品平面バッフルのスピーカーに接続しましたがやはり方チャンネル音が出ません。この故障した真空管式プリメインアンプはプリアンプとメインアンプは切り離しが可能であるため 後部パネルにあるメインアンプ入力端子に音源を接続すると正常に動作します。プリアンプ部と判断しました。入力セレクターをガチャガチャ回して連続回転すると音が両チャンネル出るようになりました。悪友B はほとんど入力切替ロータリースイッチは AUX-2以外使用頻度は無いようです。
![]() |
入力セレクター部のロータリースィッチです。クロストーク改善のため多数段のロータリーウエハー構造です。接点部はやり黒化しています。接点部には信越製シリコングリスを塗布して修復しました。これだけの故障かなと思いましたが 音量を上げると左チャンネルと右チャンネルでは音質差が判明。まずは以前調整してあったDCバランス・アイドリング電流の点検です。各真空管 48~50mA に調整てありました。左チャンネルの片側の真空管が正常な電圧が発生していません。以前改修時新規取り付けた 10Ω の抵抗の電圧が通常 0.5V であるべき電圧が数十ボルトの表示です。山小屋の測定器は自宅道楽部屋と同じ機種であるアナログ回路計 横河 YEW3201 型が常備品です。
画像中央部に10Ωの抵抗をよく見てください。左側の抵抗器の色が変色していますね。テスターで計測すると断線状態です。テスターの内部抵抗で異常な電圧が発生したわけです。山小屋で部品物色すると10Ω1/2W誤差1%の精密抵抗があり交換して動作試験をしましたが 正常な電流が流れません。極端な真空管エミゲン状態です。
故障原因として真空管の内部短絡事故で異常電流が流れ カソード抵抗であり電流測定抵抗の10Ωに発熱が発生 抵抗器の断線と判断しました。多分故障時には真空管が赤熱状態であったと思います。異常電流の原因としてグリッドに接続してあるカップリングコンデンサーのリークも考えられますが 以前出力トランスを交換時にMF型コンデンサーに交換してあります。動作時のグリッド電圧も点検しましたがコンデンサーのリーク状態は確認できませんでした。簡単なリーク電流測定方法としては電源通電時数秒間は真空管が動作していないため各回路はオープン状態であり真空管には電流は流れません。出力管のグリッドにはバイアス電圧のみの負電圧が発生しています。もしもカップリングコンデンサーがリーク(漏電)時はグリッドバイアスが正電圧に移行します。プラス側に移行すればプレート(カソード)電流は増加します。あくまでも目安的な方法です。通電直後であればカップリングコンデンサーの印可直流電圧を測定するとDC:400V 以上発生していますね。ゆえに0.1μF DC:400WV では耐圧不足であるのが判明します。DC:630WVを選択しなければなりませんね。
仕方なく山小屋ではこれ以上の修理・調整はできません。自宅道楽部屋に持ち帰りです。
自宅道楽部屋では自作真空管試験機 久々の登場です。この工作した真空管試験装置は 自己バイアス・三極管もしくは三極管接続モノラル真空管アンプそのものです。カソード抵抗を可変して適正電流値でのプレート電圧・グリッド電圧・カソード電圧・カソード電流を同時測定できる 三極管・三極管接続管のA級・もしくはAB1級動作状態が確認できる装置です。音楽などを入力すればスピーカーから音質が確認できる多用途測定器です。現在 50C-A10 の動作試験状態です。50C-A10 はヒーター電圧50Vであるため手前の真空管はヒーターのみダミー抵抗として使用し AC:100V で通電します。測定する真空管は奥側です。この装置で最低測定する端子電圧は Ek:カソード電圧 Ik:カソード電流 Eg:グリッド電圧 Ep:プレート電圧 Esg:スクリーン電圧 B1:電圧 を測定し真空管の良否を判定します。測定端子は全面右側のUSソケットが測定端子です。画像中央下側はPCMデジタルステレオレコーダーであり機器動作音源として作動します。シャーシー上部の 50C-A10 左側にあるつまみが 心臓部 大型2KΩ巻き線型可変抵抗器であり これがカソードバイアス用可変抵抗器です。
この自作 真空管試験装置について詳しくは https://musenan05.blogspot.com/ を参照ください。
今回 50C-A10 三極管の動作試験ですので 測定値としては SQ-38FD のグリッドバイアス電圧と同じとし カソード電流は 48mA となるように可変抵抗器を調整します。カソードのバイパスコンデンサー100μF/200WV はスイッチONとします。プレート供給電圧 DC:400V 前後となるように電源部で調整します。電源トランス山水 P-42B 高圧巻き線は 280Vタップから 350Vタップへとリレー制御で変更。チョークコイル 5H-200mA C520 に直列に入っている抵抗器 1.1KΩはスィッチにより短絡として高電圧供給とします。又整流管は高能率(ハイパービアンス管) 5A-R4 を選択します。これらの設定でB電圧は DC:430V 程度供給できます。カソード抵抗である 2KΩ可変抵抗器は抵抗器最大値から目的とする電流値 48mAとなるように可変しその状態の各部電圧を測定します。場合により可変抵抗器には並列に666Ωの固定抵抗器をスイッチ操作により並列接続する事もあります。又デジタルステレオICレコーダーの音源により動作状況を道楽部屋常用スピーカー8Ωの Lch,Rch 直列接続とし真空管試験装置16Ω端子に接続します。モノラルとなりますが両スピーカーから音出しで音質確認できます。
真空管測定準備として アンプに実装されている出力真空管4本に検体表示として真空管にフェルトペンで識別記号を記入します。当方は A,B,C.D と記入し識別します。真空管試験装置測定準備でき次第 Ik:カソード電流可変し 今回修復する SQ-38FD のアイドリング電流値 48mA を設定値として真空管個別動作を観測し良否判定します。悪友Bは購入後一度も出力真空管は交換していません。使用頻度が少なく小生とは運用時間の差だと思います。
測定結果
検体A Ep:435V Eg:GND, 0V Ek:39.8V Ik:48mA Ep-k:395.2V Rk:829Ω
検体B Ep:440V Eg:GND, 0V Ek:21.8V Ik:40mA Ep-k:418.2V Rk:545Ω
検体C Ep:434V Eg:GND, 0V Ek:38.9V Ik:48mA Ep-k:395.1V Rk:810Ω
検体D Ep:433V Eg:GND, 0V Ek:40.0V Ik:48mA Ep-k:395.6V Rk:833Ω
手持管 Ep:436V Eg:GND, 0V Ek:32.0V Ik:48mA Ep-k:404.0V Rk:666Ω
備考 (単位および説明)
この項目の電圧を重視します。 Ek:表記電圧 は グリッドから見れば負電圧であるグリッドバイアス電圧となります。
Ep:プレート電圧:V Eg:グリッド電圧: 0V(GND) Ek:カソード電圧:V Ik:カソード電流測定時固定48mA Ep-k:プレート・カソード間電圧:V Rk:カソード抵抗値(計算値):Ω
実働する SQ-38FD Ep-k電圧はDC:410~430V程度ですが ほとんど同等動作状況での測定と言えます。
(この真空管試験装置はカソードバイアス動作であり グリッドは直流的にグリッド抵抗によりグランドレベルとなっています。グリッド・GND間は 100KΩ の抵抗器です。)
上記測定結果から判明することは アイドリング電流各真空管が 48mA とした場合 Ek: 電圧がグリッドバイアス電圧と同じであり 固定バイアスのアンプではバイアス電圧は負電圧です。真空管のカソードがグランドレベルであるので 0V です。バイアス電圧はカソードを基準とするとマイナスの電圧が C電圧 として負のグリッドバイアス電圧で真空管動作点の設定調整項目です。SQ-38FD のバイアス回路は固定バイアス方式です。ゆえに出力管のカソードは GND に接続されています。新規にカソードには電流測定用途として 10Ω が挿入されていますが 無視できる数値です。
SQ-38FD メインアンプ調整において上記真空管の調査結果から Ek の電圧がそろっている場合 DCバランスVRはほぼ中心付近になります。又グリッドの電圧を測定すれば Ekの電圧を負電圧として測定でき電圧は大きく変化しません。
上記真空管試験装置の測定結果により 検体B正常時のバイアス電圧では設定された電流が流れません。これが真空管のエミゲン状態です。無理に設定電流とするにはカソード・グリッド間の電圧(バイアス電圧)を小さくしなければ電流は流れません。
検体A, 検体C,検体D, の真空管はバイアス電圧差がほとんどありません。ばらつきが少ない真空管で正常管と判断できます。又検体手持ち管は エミゲンが進行しており DCバランスがとりにくい真空管と言えます。ペアチューブ・選別管と言われる真空管はこのように特性の近い真空管を選別しているわけです。LUXではやはり完成品として出荷されるアンプでは 出力管4本とも特性のそろったものが搭載されていたと思われます。
元々 50C-A10 の真空管はばらつきが多く 特製のそろった真空管を入手には今となっては困難となっています。現在では新品の真空管はほとんど入手できません。多数の中古管から選別しなければ最良のアンプとはなりませんね。これが骨董品真空管アンプ修復における実態です。
上図は以前出力トランス不良時 ISO(新タンゴ) FE25-5 に交換。その時に新設したカソード電流測定用抵抗器4本です。カソードに流れる電流により抵抗器に電圧が発生します。発生した電圧を電流換算して測定します。例えると 10Ω の抵抗に 0.5V が発生した場合 オームの法則により I=E/R から0.5/10=0.05(A) すなわち 50mA となります。純正の出力トランス OY15-5 の場合は DCバランス・アイドリング電流調整時にはトランスの一次巻き線抵抗値(P1-B1間, P2-B2間 約160Ω)を応用しての調整です。しかし異機種出力トランスでは一次巻き線抵抗が異なるためLUX推奨の方法では調整できません。そのためカソード電流測定用として新規取り付けた抵抗器です。左側から4本は依然取り付けていた10Ω誤差±5%1W型酸化金属皮膜抵抗器です。右端は今回使用した10Ω誤差±1%1/2W型金属皮膜精密抵抗器です。右から2本目の抵抗器が変色しているのが判明します。現在断線状態です。この抵抗器に過大電流が流れ焼損断線したと思います。目視で異常状態が判明したわけです。現代ではこのような抵抗器はほとんど使われていません。半導体回路部品において IC・トランジスター が主流であり消費電力も少ないためチップ抵抗器が多数使われています。一般的に数多く存在する抵抗器は炭素皮膜抵抗器です。カーボン抵抗器とも呼ばれます。新たな抵抗器選択には許容電力と誤差に注目してください。代用使用する場合には注意が必要です。50年以上前の部品とは大きさも大きく異なります。真空管式白黒テレビ時代には 1/2W型 ソリッド抵抗が主流でした。
上図は道楽部屋 小物部品整理棚に保管している旧機種に使用された時代の各種抵抗器です。左側は炭素皮膜抵抗器 L型,P型であり2W,1W,1/2W型です。中央上部は巻き線抵抗器5W型、その下は酸化金属皮膜抵抗器 7W,4W,3W,2W型です。右上はソリッド抵抗器2W型、1W型、1/2W型、銀色の帯が目立つ3本が昔よく使われたソリッド抵抗器で雑音が多く抵抗値高化を招く抵抗器です。右下は現在でも簡単に入手できる 1/4W・P型誤差±5%の汎用カーボン抵抗器(炭素皮膜抵抗器)です。ほとんど半世紀前後に製造された抵抗器ばかりです。
抵抗器の許容電力値が1W型の場合 例として今回使っていた10Ωの場合で考えます。電力値とは 電流・電圧・抵抗で表示した場合オームの法則から W=I・E I=E/R E=I・R より展開しますと 1Wの場合 抵抗値10Ωであればこの抵抗に流せる電流 I(A) を求めると
W=I・E (左式 Eに E=I・R を代入すると ) W=I(A)・I(A)・R(Ω) 1(W)=I(A)・I(A)・10(Ω) I(A)・I(A)=1/10 I(A)=√0.1 計算結果電流 I (A) は 0.316(A) 316mA となりますね。10Ωに 316mA 流れると抵抗に1(W)の電力が発生します。 また不明であった E(V) は E=I・E より 3.16V となります。
今回修復に使用した10Ω誤差±1%1/2W型金属皮膜精密抵抗器での許容電流値として0.223(A) 223mAですね。通常アイドリング電流値および最大出力時の電流を考えても安全動作範囲と言えます。1/4W型抵抗器であれば 158mA です。50C-A10 1本の最大カソード電流約100mA 程度でも問題はないようです。抵抗器は発熱により抵抗値の変化が発生します。余裕を見た電力値を選択しなければなりません。 ゆえに今回使用した抵抗は 10Ω 誤差±1%1/2W型金属皮膜精密抵抗 茶 黒 黒 金 茶 (カラーコード) を採用しました。
各部不良個所修復後の DCバランス・アイドリング電流調整
今回不良個所の部品交換として 予備の真空管 50C-A10 LUXMAN表示 多分中国製と思われる真空管との1本のみ交換。カソード抵抗器4本交換。DCバランス調整用半固定VR 5KΩから10KΩ SVRに変更交換。上記がその調整中の作業画像です。調整に使用した測定器は SQ-38FD とほぼ同年代の骨董品アナログ回路計 横河YEW3201型で調整します。現代のデジタルマルチメーターではありません。こだわりです。片チャンネルごと調整します。通電後しばらくは不安定な数値を表示しますが時間経過とともに数値は安定していきます。最低30分以上経過した状態でないと調整は完了しません。音楽を流しながらの調整です。出力電力として1W以下の出力しかありません。やはり特性のそろった真空管でのプッシュプル回路ではDCバランス調整SVRはほぼ中点で動作となります。左側の回路計はDC:0.3Vレンジで各カソード間の電圧を測定します。0V表示となれば各真空管に流れる電流は同じとなります。右側の回路計は DC:1.2V レンジで 10Ωの抵抗器電圧を測定します。調整電圧は 0.48V~0.5V に調整すれば完了です。その後一時間以上エージングしましたか調整後の電圧変化はほとんど発生しませんでした。
予備真空管を使用して調整した結果 片チャンネルでは DCバランスおよび バイアス電圧には大きな違いが発生しました。特性の異なる予備真空管を使用したため完璧なDCバランスが取れませんが仕方ありません。一応真空管4本ともカソード電流は 48mA に調整完了。DCバランスVR 中央付近ではなく偏った位置で調整完了しました。正常な片chは真空管のバランスがとれているためDCバランスVRほぼ中央です。両chとも調整範囲拡大のためDCバランス調整用VRは5KΩから10KΩに変更。大出力時特性はよくありませんが実用動作アンプと判断しました。悪友Bにはこのままで返却予定です。次回山小屋に行ったとき悪友の道楽部屋に納品です。返却時 50C-A10 の新規購入検討をお願いする予定です。代替アンプとして山小屋で遊休となっている 6CK4 p-p リークムラード型三極管アンプを持ち込み代替品として貸し出しました。修復完了した SQ-38FD 納品時に引き上げ予定。
悪友Bの道楽部屋に修復品SQ-38FD を納品。修理代金として茶封筒を渡されましたが 高校時代からの悪友であり受け取りを辞退しました。自宅道楽部屋の余剰部品で修復したため 今回の修復での実費用は発生していません。後日昼飯でもおごってもらうことで納品完了となりました。50C-A10 の中古管購入も即しましたが フルパワー大音量運用とは異なり通常1~2W程度までの出力運用でありリスニング結果 現状で使うとのことでした。
実際これと同等品である保有品 LUXKIT KMQ-60 で昔100人前後収容できる中ホール運用での音楽鑑賞イベントでは フルパワー近くまで音量を上げましたが十分な音圧が得られました。通常一般的な日本家屋内ではよほど能率の悪い80dB前後のスピーカーでない限りパワーは出せないと思います。スピーカーの能率が90dB を超えれば2~3W出力でも十分運用可能と思います。
修復完了後の物理的特性検査についての詳細は 本編を参照願います。
まとめ
上図は今回故障で交換した部品
悪友Bの SQ-38FD 修復作業での問題点として記述すると
まずは電力増幅真空管 50C-A10 の調達です。入手方法として一番早いのはヤフオクでの入手と思います。ほとんどの場合2本組もしくは4本組で出品されています。新品長期保管品(デッドストック品)などはほとんど見かけません。廃棄寸前の機器抜き取り管がほとんどと思います。使用状態により全数が正常動作する真空管とは思えません。中には外見は良好ではあるがエミゲン状態も含まれておる可能性もあります。また購入後正常に動作する真空管であるかを確認しなければなりません。各真空管の動作状況を記載され出品されている真空管はほとんどありません。一本当たりの単価を計算すると最低 6~8000円程度となります。それに諸費用を加算すると結構高額となります。購入に際し正常に動作するかは保証はありません。
多数台 50C-A10 を使用した真空管アンプを所有もしくは修復してきましたが 電力増幅真空管の良否判定に苦労しました。アメリカ軍用規格 TV7D/U・DELICA 1001型など真空管試験機では コンパクトロン12ピン管 50C-A10 は簡単に測定する真空管ソケットが装着されていません。又測定チャートも存在しません。その意味もあり実働状態を確認できる真空管試験装置を工作に至るわけです。
又今回修復した Luxman SQ-38FD 型は 50C-A10 AB1級プッシュプル回路で動作しており 強度のNFB が施された真空管アンプです。数ワットの出力で動作している場合 A級プッシュプル回路として動作しています。だから音質の良いA級プッシュプル回路動作と言えます。片側の真空管がエミゲンしても不良と判別できないのは終段管が小電力出力時A級増幅器で動作であるため大電力出力時に不良と判別できるからです。今回修復した SQ-38FD は音質には定評あり 高級真空管アンプに属すると思います。真空管は全数三極管で構成されています。現実には疑似三極管も存在します。メインアンプの初段管は 6267 /EF86 三極管接続の五極管です。終段管の 50C-A10 の電極構造をよく観察すれば 多極管の三極管接続構造です。見た目には4極ビーム管構造であり 第3(サプレッサー)グリッド相当のビーム形成翼(極)も存在します。スクリーングリッド支柱には放熱翼も観られます。スクリーングリッドはプレートと接続されています。 WE-300B , RCA-2A3,RCA-45,RCA-50,UV211(VT-4C)などの真空管で陰極がフィラメント仕様古典直熱三極管と呼ばれます。 RCA-3C33, 6CK4,WE-421A,6G-A4,6BX7などの陰極がカソード仕様傍熱管に分類され純粋な三極管です。50C-A10 は三極管接続の多極管構造であり 純粋な三極管とは思えませんが三極管に分類されます。
上図はメインアンプ部に搭載されている NEC 6267/EF86 真空管です。黄色の箱は高信頼管選別管です。ガラス管壁に黄色でプリントされています。右側は通常市販品の NEC 6267/EF86 真空管です。この真空管がメインアンプ部の初段管であり五極管ですが三極管接続として採用されています。外側の灰色の電極はプレートではありません。シールド板です。そのため微小な信号増幅でもシールドケースは不要です。黄色の箱には一本づつ検査済証が添付されます。検査済証には検査日と担当者スタンプが押されています。松下製の 6267 はシールドがメッシュ板状となっており海外製 6267 も同様の構造です。現在保守管として道楽部屋部品棚に保管中です。以前は複数本の 50C-A10 を所有していましたが SQ-38FD C号機に4本使ったため保管品の 50C-A10 は一本しか保管しておらず 悪友Bの修復に使用したため現在 50C-A10 は在庫 0本 となってしまいました。これからの保守を考えると頭が痛い状態です。
特に諸先輩方の中には 終段管のアイドリング電流を絞る調整を見かけます。アイドリング電流を規定値より少なくする場合 真空管の延命のためではないかとの気配がします。しかし真空管の動作点が変化します。AB1級であれば最大出力時でもグリッド電流は流れない動作点になりますが アイドリング電流を絞りB級増幅器に近づくAB2級動作に移行してしまい音質に関係します。B級増幅回路に近づけば゛コントロールグリッドにグリッド電流が流れる領域の動作点に移行します。パワードライブで出力は増大しますが 歪も増加します。半導体アンプでも音質を追求した場合 常時発熱は多いが大きな電力が得られないA級プッシュプル増幅アンプも存在します。WE-300B で有名なウエスタンエレクトリックのアンプWE86 300Bp-p A級プッシュプルでも最大出力は15Wしかありません。WE91b WE300B シングルA級増幅で最大出力8Wです。A級プッシュプルではA級シングルのほぼ2倍しか電力は得られません。中にはWE-300B A級パラレル・シングル増幅器で 15W の出力方式もあります。できうる限り設計値である初期性能を維持するように調整するように心がけています。
出力管の DCバランス・アイドリング電流調整とは
上図は今回説明用として作成した図面です。FIG- 1はSQ-38FD の出力トランスの構造図です。一次巻き線は B1,B2 端子から出力三極管のプレート P1,P2 に接続されます。巻き線方向を図で示しています。FIG-2 はアンペアの右ねじ法則の図であり磁芯に巻かれたコイルに電流が流れた場合には左にはN極 右側にはS極が発生します。プッシュプルトランスの場合 P1,P2 に同じ電流が流れた場合磁界は打ち消され発生しません。FIG-3 はA級シングルアンプ カソードバイアス回路の構造図です。プレート電流によりコアは帯磁することになります。Pはプライマリー巻き線・一次巻き線です。Sはセカンダリー巻き線・二次巻き線でスピーカーと接続する端子です。OY15-5 出力トランスのコア材はオリエントコアです。コア形状はE,I型が交互多段に積層されています。一次巻き線(17分割)・二次巻き線(8分割)は多段層(25段)に巻かれています。電源トランスのような簡単な巻き線構造ではありません。出力トランス OY15-5 についての詳細は https://musenan.blogspot.com/ を参照願います。
今回修復した Luxman SQ-38FD においては必ず調整しなければならない項目です。真空管アンプでは三極管プッシュプル回路での大出力アンプになります。多極管・ウルトラリニア回路では結構な大出力アンプも存在しますが 三極管は直線性・リニアリティーが良好であり音質的・歪率にも優れた回路構成です。最良の動作とするための調整です。真空管という古典的なデバイスでは特性に必ずばらつきが発生します。真空管を最適に動作させるための調整項目です。
DCバランス調整
プッシュプル回路では片チャンネル最低2本の真空管を使います。(単管双三極管等を除く RCA 3C33p-p,WE421Ap-pなど) 真空管一本のシングル増幅アンプにはこの調整項目はありません。各真空管で増幅された信号は位相逆転しています。その信号を出力トランスという変圧器で合成され 二次巻き線に低いインピーダンス変換して出力されます。各真空管はもともとばらつきがありこの真空管に流れる電流を同じ電流値にするのが DCバランス調整です。ゆえに特性のそろった真空管が必要なわけです。
すこし脱線します。
![]() |
| RCA 3C33p-p 単管双三極管ステレオアンプ 常用システムに組み込み |
上図は現有システムの一部です。特殊形状の真空管であり 足の数は7本です。三極管2組ですので 通常電極数としては P,GK, 2組とヒーター1組となれば足の数は8本必要です。 6SN7GT 双三極管オクタルベースで足は8本です。3C33 は7本であり1本足りませんね。そこでこの真空管は両極のカソードが共通として取り出されています。これがプッシュプル回路とした場合 各カソードに DCバランス・アイドリング電流調整用の抵抗器を取り付けられません。これを克服するためには 出力トランスの一次巻き線 B1,B2,端子に挿入しました。出力トランスによりB1,B2,が共通端子として取り出されている場合は抵抗器は挿入できませんね。このアンプに使用した出力トランスはB端子が独立していたため抵抗器を挿入することができました。ただ+B電源がかかっている抵抗器での測定には感電の注意が必要ですね。この真空管は軍用管でありパルス増幅管です。この真空管によく似た形状の真空管は 829B, 832A, 双ビーム出力管でVHF帯域の電力増幅管です。上部にはプレートの角が2本取り出されています。
![]() |
| 左より RCA 829B, RCA 832A, RCA 3C33 軍用通信管 |
アイドリング電流調整
真空管動作点の調整です。この回路では AB1級で動作します。シングルアンプでは動作は A級動作ですのでほとんどのシングルアンプでは 最大プレート損失(Pd)における電流と電圧を掛け算した値です。例として 2A3 の場合プレート損失(Pd)は 15W です。プレート・カソード間電圧が250Vの場合 プレート電流=フィラメント(カソード)電流は 60mA です。入力電力値は電圧×電流により 15Wと計算でき これがアイドリング電流値(カソード電流=プレート電流)です。SQ-38FDでは AB1級増幅回路ですので A級増幅とB級増幅の中間で動作します。50C-A10のプレート損失(Pd)は 30W です。もしもプレートカソード間の電圧が 420Vとした場合真空管に流れる電流の最大値は 71.4mAです。NEC真空管規格表によると A級増幅器の場合にはプレート・カソード管電圧は 250Vで設計した場合 Rl:1500Ω Rk:200Ω 出力電力5.5W,THD7% 無信号最大電流値は90mAです。入力電力は 22.5Wとなります。プレート損失 30Wと比較すると余裕があります。
このアンプではプレート・カソード間電圧 420V程度であり AB1級増幅とする場合 NEC真空管規格表Ep-k400Vでのバイアス電流は 50mAと記載されており 最大出力は 34W,THD2.5% Rl:5000Ω と記載されています。又グリッドバイアス電圧は -43V と記載されていますので参考となりますね。最大プレート印可電圧は 450V です。アイドリング時の一本当たり真空管入力電力を計算すると 21WでありPd:30Wのプレート損失と比較すると余裕があります。ゆえにプッシュプル回路の各真空管を同じアイドリング電流値に調整しなければなりません。そのためにアイドリング電流調整用のVRと DCバランス調整用VRを各チャンネル交互にしかも時間をかけて調整する必要があります。
なぜアイドリング状態の出力管プレート損失に注目するのかは 無信号時真空管で発生する熱量が大きいからです。出力が大きくなれば電流も増えますが 出力としてエネルギーはスピーカーへと送り出されるため真空管内部での発熱量は大きくは増加しません。とはいえ最大出力時出力管がうっすら赤熱するアンプも存在します。A級シングル増幅器の場合 出力が増加しても電流は大きく変化しません。そのためアイドリング時が真空管が一番発熱するわけです。SQ-38FD の場合 スピーカーへの出力が数Wで運用時はA級動作範囲であり 真空管を流れる電流増加は少ない領域です。50C-A10 4本がアイドリング状態(21W×4)では真空管ヒーター加熱電力(8.75W×4)も加算すると 終段管全体からの発熱量は120Wを超えます。そのため本体からの放熱に配慮する必要があります。真空管は元々真空状態です。熱は伝道しませんが内部で発生した熱量は輻射熱として 真空管壁および周辺に拡散します。
出力トランスには常時アイドリング電流が流れており トランス一次側巻き線位相が逆のため同電流であれはトランスのコアは直流電流による磁化が発生しません。そのため高級なトランスほどアンバランス電流値は小さく設定されています。アンバランス電流が大きくなると最大出力及び歪特性が劣化します。
アイドリング電流を少なくするほど B級増幅器に移行します。アイドリング電流値が 30mA以下に調整した場合 B級増幅に近い AB2級増幅回路動作と思います。
無銭庵仙人の独り言
工作した真空管試験装置を使ってのお遊び
このブログを閲覧されている方々は真空管に興味があると思います。真空管のどのような容姿が好みでしょうか。小生は幼い時に自宅にあった6球スーパーラジオ電蓄です。ST-14型容姿の真空管が好みでした。スビーカーは 8インチ励磁型ダイナミックスピーカーです。励磁コイルの抵抗値は2500Ωです。スピーカー背面には出力トランスが搭載されており 本体とはUYプラグ・ソケットで接続されています。キャビネットの裏側からダルマ型の真空管にくぎ付けです。80の2本のフィラメントの薄暗い燈火 42のヒーターの薄暗い燈火が記憶にあります。78回転の電蓄ダイレクトモーター仕様でした。この電蓄ラジオが小生の趣味に陥った始まりです。残念ながらこの電蓄は学生時代に解体して送信機を工作しました。いまだに50年以上経過した真空管オーディオシステムを愛用している 無銭庵 仙人 です。
上記は MINIWATT DARIO R120 単管三極管 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。フランス製の真空管です。目視すると4極管の3極管接続構造です。2A3同等管として購入。2A3とは異なりフィラメント構造ではなく傍熱管(ヒーター)構造です。シングル動作でも 2A3 とは異なりヒーターハムに悩まされません。2A3 と変更した場合 Rkは 750Ωから600Ωに変更しなければなりません。
R120 最大定格 Ep:300V Esg:***V P d:15W Psg d:**W Ik:***mA Hv:6.3V Hi:1.45A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:285V Ik:59.5mA Ek:22.9V Pd:17.1W もう少しEp-k を 250V としなければプレート損失15Wを超えてしまします。短時間での測定としました。
![]() |
| 右から 東芝 6A-S7G (ST-16) RCA 2A3 (ST-16) DARIO R120 |
余談
昔 2A3シングルアンプを複数台工作しましたが 交流点火では夜間のリスニングには不向きでした。直熱管でありフィラメントからの残留ハムに悩み アンプは解体してしまいました。ハムバランサー回路でも問題は解決しません。直流点火にはこの真空管のフィラメント電圧・電流(2.5V,2.5A)がトランス巻き線状態および回路的問題が大きくしています。ストレージ蓄電池からの直流点火するにも動作環境に多くの問題があります。
![]() |
| 左から Western Electric 421A(ST-16), TANGSOL 5998(ST-16), GE 5998A(T12-15) |
その後2A3 と同等に使用できる海外製真空管が存在することが判明し その真空管が R120 です。多数人があこがれる 2A3シングルアンプは世間では最良のアンプとして推奨されますが このような問題が潜んでいることを理解したうえで工作又は完成品を購入してください。現在2A3シングルアンプに使用していた出力トランス LUX SS5B2.5型は WE421A (双三極管 TANGSOL5998互換)単管シングル増幅アンプとして常用システムの一部として稼働しています。今回使用している工作した真空管試験機には予備品として購入した LUX SS5B2.5型を使用しています。もともと WE421A はレギュレーター管として設計されています。有名な WE300B ですらアメリカ軍用機器でレギュレーター管として使われています。同等管の TANGSOL5998 ですが GE5998A は全く異なる電極構造であり真空管特性は同等品ですが この真空管を使った場合時々電極からの大きなスパークノイズに悩まされ怖くて使えません。
![]() |
| 左 RCA 2A3, 右 国産 TEN 2A3 |
上図は有名な直熱三極管のフィラメント支持構造違いです。RCA 2A3 は上部のマイカシートに直接取り付けられています。まるで整流管 UX- 80(5Y3GT) のようなフィラメント構造ですね。GE製も RCA 製も同じフィラメント支持構造です。片や国産 TEN,マツダ製 2A3 の場合フィラメントは RCA に比べ細く点灯時でも薄暗く点灯します。マイカ板直接に取り付けとは異なりWE300B と同じコイルスプリング4本でフィラメントを吊り下げられています。所有している 2A3 は2分割プレート構造であり 300B のような一枚プレート構造ではありません。所有している elector-harmonix 2A3 GOLD 4本は一枚プレート構造です。この真空管を使った 2A3p-pアンプは工作しましたが現在お飾りでありほとんど運用していません。
![]() |
| 左から 東芝 6A-S7G(ST-16), 東芝 6080(T12-43), GE 5998A(T12-15) |
上図は双三極管構造のシリーズレギュレーター管です。以前6080の24V管 RCA 6082を使ったA級増幅アンプを工作しましたが気に食わず解体となりました。カソードバイアスでカソード抵抗が2.5KΩ/20W型でありカソード電圧が約 125V 程度となります。バイアスが深い真空管回路であり ドライブ電圧も大きくなり回路設計が大変です。たかが Ep-k 電圧 250V として設計した場合 無信号時入力電力はプレート損失以下でなければなりません。プレート供給電圧は Ep-k 電圧にカソードバイアス電圧を加えると 400V 程度としなければ正常動作しません。又この真空管のフレート損失は 13W です。A級増幅器の場合無信号時の入力電力がプレート損失内の動作と設計しなければなりません。真空管およびカソードバイアス抵抗からの非常に発熱の多いアンプとなってしまいました。このようなシリーズレギュレーター管を使った三極管アンプは効率が悪く 思っているほど良い音とはなりませんでした。レギュレーター管の特徴としてプレート抵抗が低くRp:280Ω,Gm:7000μmhos,μFactor: 2.0,Pd:13W,という通常のオーディオ三極管とは異なる数値であり使いこなすのには高度のテクニックが必要です。2A3 ではRp:800Ω,Gm:5250μmhos,μFactor :4.2,Pd:15W, と数値比較すれば特殊な真空管であるのが判明しますね。ところがWE421A,TANGSOL 5998 は同じレギュレーター双三極管ですが Rp:350Ω,Gm:15500μmhos,μFactor: 5.4,Pd:13W.とオーディオ用途の三極管に近い数値です。Ep-k 250Vの場合 WE421A のカソードバイアス抵抗器は合成抵抗値ですが735Ω Ek:39.2V となり プレート電流が 52.7mA です。ほぼ 2A3 A級シングルアンプに似通った動作特性です。最大出力は 2A3 より小さく 3.0W 程度でも道楽部屋の六半シングルコーン×2高効率スピーカー(95dB)では十分に活用できています。
ここで A級カソードバイアス・シングル増幅回路の場合 大まかなドライブ電圧の計算を記述します。まずはカソード電圧が基本となります。2A3 シングルの場合カソード抵抗750Ωに発生する電圧は 45V です。ドライブ電圧は45vp-p の信号がグリッドに入力されれば最大出力 3.5W が負荷抵抗2.5KΩのトランスに取り出せます。45Vp-p の信号を実効値に直すと45÷2÷√2から15.9V/rms の信号です。15.9Vの正弦波が前段ドライブ回路から歪なく供給すればよいことがわかります。歪なくそれ以上の能力が必要です。WE421A の場合カソード電圧は約39V です。計算すれば約13.8V/rms のドライブ電圧が必要です。近代管の6C-A7 の場合 三極管接続A級増幅では Ep:350V,Ek:26V,Ik 70mA,Rl:3KΩ,(Eg-26V),Rk:370Ω,Rsg:470Ω,output:6.0W この数値は真空管規格表からです。カソード抵抗 370Ωにカソード電流 70mA からカソード電圧を求めると25.9V と判明します。ドライブ電圧を求めると 25.9Vp-p より 9.15V/rms と計算できます。2A3シングルのドライブ電圧から比較すると近代管である 6C-A7 は小さなドライブ電圧でより大きな出力が得られるのが判明します。ほとんどの場合ドライブ管もA級増幅ですね。信号をピークツーピーク(p-p)電圧でA級増幅ドライブ段を考察するのに便利かもしれません。電力管において特に真空管規格表でのドライブ電圧記載方法が P-P なのか rms 表示であるかを注意して見極めてください。規格表により記載表記が異なります。ドライブ管の歪率を改善すれば全体として歪率が良くなりますので ドライブ段の回路選択も重要です。
余談が多くなりました。大きく記載内容の方向性が狂ったため軌道修正します。
上記は 6C-A7(松下) 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。
6C-A7 最大定格 Ep:800V Esg:425V P d:25W Psg d:8W Ik:150mA Hv:6.3V Hi:1.5A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:392.9V Ik:49.7mA Ek:28.1V Pd:19.6W
LUXKIT A3500 終段管 6C-A7p-p(松下)仕様において 三極管接続では最大出力は 20W であり ウルトラリニア(UL)接続では 40W です。又6L6GC 五極管接続では 40W です。接続方法及び真空管品種変更により最大出力及び音質違いが発生するようです。
有名な真空管 HI-i-Fi アンプに多用された信頼性の高い真空管です。Marantz 8B Luxman SQ-38U DYNACO STEREO 70 などに採用されています。
この真空管は5極管の3極管接続方式です。カソード電流にはプレート電流とスクリーングリッド電流が合算された電流が流れます。そのためスクリーングリッドにどれだけの電流が流れているかを調査しなければなりません。真空管規格表にはスクリーングリッド損失も明記されています。このような大型音声出力管の場合はスクリーングリッド損失は10W前後です。三極管接続に際してプレート(P)とスクリーングリッド(Sg)間には100Ωで接続されています。この100Ωに発生する電圧を電流換算すればスクリーングリッド電流が判明します。前面の測定端子 P・Sg 間の電圧を測定します。プレート損失は プレート電流×プレート・カソード間電圧で求められます。又スクリーングリッド損失は カソード・スクリーングリッド間電圧×スクリーングリッド電流 で求められます。検体 6C-A7 のプレート損失は 25W スクリーングリッド損失は 8W です。プレート・スクリーングリッド許容電力損失以下となるように回路設計しなければなりません。特にこの真空管の場合スクリーングリッドが赤熱する場合があります。スクリーングリッド入力電力がオーバーしていないか確認することが重要です。ここで多極管の三極管接続においての注意事項があります。最大印可できるスクリーングリッド電圧が問題です。この6C-A7 の場合 425V以上加えることができません。ブレード電圧の最大印可電圧は 800V ですね。三極管接続の場合 最大印可電圧はスクリーングリッド電圧以下にしなければなりません。
それらの制約により送信管 6146B のなどの場合スクリーングリッド印可電圧が低いため三極管接続とした場合供給電圧が低くなり実用とはなりません。それと同様に真空管式カラーテレビの水平出力管は大電力仕様の真空管ですが オーディオ用途には不向きです。水平偏向周波数は 15734Hz です。パルス増幅管でありリニアリティーを考えれば不向きです。またスクリーン電圧も送信管と似ており低い電圧です。三極管接続には不向きです。オーディオ用途としてテレビ受信管と使用できると思う真空管は 垂直出力管で垂直偏向周波数は約 60Hz です。特に三極管がオーディオ用真空管として活用可能と思います。垂直発振・電力増幅管として 6BX7GT 双三極管が有名です。単独管としてオーディオ用途となり 改良された真空管は傍熱型 6G-A4(GT) です。この真空管は 2A3 とよく似ており Ep-k 250V の場合 A級シングル増幅時 2.2W Ep-k 280V では 3.2W 出力です。
![]() |
| 左 JAN球 Fhilips ECG 6146W 右 NEC 2E26 自衛隊用 無線機保守管として保有 |
上図は無線機用送信管五極ビーム管です。五極管接続の増幅器では大きな出力が得られますが。三極管接続としては使い物になりません。6146W Max Esg :250V Max Ep:750V 2E26 Max Esg:200V Max Ep:300V 例のように送信管のスクリーングリッド印可電圧が低い場合が多いようです。無線機の変調器 A3 運用の場合 Hi-Fi とは異なり主に音声帯域での通信です。そのため音質より出力を優先します。より大きな出力を得るため AB2,B級増幅器が使用されます。Hi-Fi とは異なる増幅する周波数特性および歪特性に大きな違いがあります。
6C-A7 この真空管は多用途管として 各社・多用途増幅器として搭載されました。終戦後はUY-807p-p が拡声器増幅器として多くの公共施設に設置されていました。当時キンキン音の8吋マグネチックスピーカーも全盛です。その後 6C-A7p-p アンプが主流となり拡声用スピーカーもパーマネントダイナミックスピーカーになりました。6.5吋又は8吋が主流です。6C-A7p-p としては出力にはバリエーションがあり30~100W まで用途により他機種製造されました。当時松下のサービス網では必ず 6C-A7,2本 5A-R4 は持参するのが常識でした。
トランジスター高出力拡声器が主流となったのは1970年後半です。1970年後半は国内各社で真空管製造中止となった時期です。当時の面白い思い出があります。選挙演説車両での拡声器です。トランジスターも初期では車載用PAとして出力が足りません。数ワットのトランジスター・メガホンは存在しました。そこで活躍した拡声器では 市販品はほとんど無く手作りの UY-807 シングルアンプにカーボンマイクとトランペットスピーカーとの組み合わせでした。真空管機器では DC:12V の鉛バッテリーでは動作しません。現在ではインバーター回路で簡単ですが。 当時は機械式バイブレーターを使って昇圧です。真空管駆動用高電圧を確保していました。当時のカーラジオも真空管で4球スーパーラジオです。12B-E6,12B-D6.12A-V6.12A-Q5 であったと思います。真空管はもちろん12V管でした。高電圧昇圧はバイブレーターです。初期のカーラジオはゲルマニュームトランジスターであり 夏場の車内高温時は不思議と動作しません。音声電力トランジスターは TEN製 ゲルマニュームトランジスター 2SB42 A級シングル・アウトプットトランスを搭載と記憶です。夏場の車内高温による障害も多々ありました。当時の車はエアコンなどありません。車の発電機は現在のオルタネーターではありません。整流子(ブラシ)が使われた直流ダイナモ搭載でアイドリング時には充電できません。半世紀以上前の昔話です。
上記は 東芝 6G-B8 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。
6G-B8 最大定格 Ep:800V Esg:440V P d:35W Psg d:10W Ik:200mA Hv:6.3V Hi:1.5A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:378.5V Ik:70mA Ek:21.6V Pd:26.5W
1964年東京で開催された東京オリンピックにおいて 各会場での拡声装置の PA用アンプとして多用されました。その拡声器アンプ内部には搭載された真空管として東芝しか製造されていない球であり 大電力増幅用のアンプとして 6G-B8 は君臨しました。5極管プッシュプル接続で 100W の出力を得ることができました。中には 6G-B8 パラレル・プッシュ・プレート最大電圧・AB2級アンプで最大 200W 出力アンプも存在します。現代の大規模コンサートなどでは モノラル半導体 アンプで 300W 出力機を複数台使用し KW運用は当たり前となっていますね。現代のイベントでは会場も大きくなっています。スピーカーも時代とともに変革しまし。終戦後学校の運動会では数十ワットの真空管 PAアンプにトランペットスピーカー複数台でも運用できていましたね。近年は EV・BOSE などの高出力コーン型およびホーン型マルチウエイスピーカーを使いスピーカーアレー接続が常識となっています。
1970年8月発行の雑誌を道楽部屋の本棚に保管してありました。電波技術誌です。6G-B8p-p AB1級で出力200Wです。低域専用のアンプであり当時マルチチャンネルステレオが流行っていました。
上図は55年前に発刊された雑誌・電波技術に掲載されていたものです。雑誌も年月により茶色く変色しています。手元に残っていました。当時の消耗品的な真空管の使い方でAB1級出力200W 片チャンネルたった3本の真空管です。次項目の6550p-p ウルトラリニア接続アンプですら最大出力は 60W です。この回路は初段5極管増幅・次段直結P-K分割アルティック型ドライブ回路です。恐れ入ります。一部分内容を参考に記載します。
上記は GE 6550A 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。
6550A 最大定格 Ep:660V Esg:440V P d:42W Psg d:6W Ik:190mA Hv:6.3V Hi:1.6A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:370.5V Ik:70mA Ek:37.3V Pd:26.0W
上記は TANGSOL 6550 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。
6550 最大定格 Ep:660V Esg:440V P d:42W Psg d:6W Ik:***mA Hv:6.3V Hi:1.8A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:378.5V Ik:70mA Ek:21.6V Pd:26.5W
この真空管は DYNACO MKⅢ UL接続アンプに使用されていた真空管です。最大出力は 60W。
上図は dynaco MARKⅢ の回路図及び外観図です。1975年当時のキット価格は 58,900円であり モノラルアンプですのでステレオとする場合2台必要です。以前所有していましたが友人に譲渡してしまい 現在手元にはありません。当時 LUXKIT KMQ-60 と聞き比べた結果音質的には LUX が気に入っていたため譲渡してしまいました。ダルマ型の大型真空管6550 UL 接続アンプです。真空管式メインアンプでは大出力な 部類であり60W 出力です。このアンプの特徴として終段管のアイドリング調整は 簡単なテスター一台だけでも調整可能となるような設計です。2本の終段管6550 カソードは共用としてあり カソード電流測定用の抵抗器は 11.2Ω 1W型が使われています。この抵抗の両端が 1.56V となるようにバイアス調整します。安価なテスターであっても使用するテスターのキャリブレーション用電源は 新品の単一型乾電池で校正するようになっています。新品電池の電圧でテスターを校正するわけです。ちなみに測定電圧が 1.56V であれば電流値は 140mA です。2本の真空管電流値であるため 一本当たりの電流は 70mA です。ただし条件があります。真空管を交換する場合は特性のそろったペアチューブを使うことが条件であり そのためDCバランス調整個所はありません。所有していた時に1本の 6550 が不良となり そのために GE 6550Aを8本購入してペアチューブ選択した記憶があります。現代修復する場合はバイアス回路の改造が必要です。なぜなら特性のそろった真空管は望めません。DCバランス調整回路を追加改造しなければ完全な調整はできないと思います。真空管試験装置に装着している真空管は故障していなかった真空管が写真のダルマ型 5998 です。
上記は CHINA KT-88 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。
KT-88 最大定格 Ep:800V Esg:600V P d:35W Psg d:6W Ik:230mA Hv:6.3V Hi:1.6A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:368.9V Ik:70mA Ek:37.1V Pd:25.8W
この真空管アンプは手巻き電源トランスで工作しました。重量もあり現在ではほとんど稼働していないお飾り品です。KT-88 三極管接続アンプであり 出力は20W程度です。出力トランスは タムラ製作所 Fシリーズ F-783 5KΩ 50W型を採用しました。消費電力も多く道楽部屋では 6C-A7p-p 三極間接続アンプ 15W が常用アンプであり 道楽部屋では出番がありません。KT-88 の真空管はどのような音になるかを実験したアンプです。やはり世間で言われているように 6550, 6550A,KT-88,はほぼ同等管として動作ができることが実証できました。UL接続として実験したかったのですが 採用した出力トランスは Sg タップがありません。改造実験断念しました。
上記は安価な中国製です。有名な真空管は英国製ゴールドライオンです。高級真空管アンプとしては Mclntoch Mc275 でしょうね。
上記は Radiotron 6F6G(ST14) 単管三極管接続 A級シングル増幅器の実験での動作点と音質点検動作状況確認試験です。五球スーパーラジオで有名な UY-42同等管です。通常の使用方法五極管接続で出力 4.8W もあったのですね。直熱三極管 2A3 であっても3.5Wしか出力はありません。戦前の銘球と呼ばれる直熱三極管 45 ですら2Wしか出力はありません。戦時中の並四・並三ラジオでは 12A,6ZP1 で出力は数百ミリワットしかありません。しかもスピーカーはキンキン音の8吋マグネチックスピーカーでした。幼いころからの思い出深い真空管です。国産の 42 は管壁がカーボンスートされてこのように電極が完全に見えることはありません。
6F6G 最大定格 Ep:375V Esg:285V P d:11W Psg d:3.75W Ik:***mA Hv:6.3V Hi:0.7A
A級シングル増幅器動作状況 Ep-k:287V Ik:30mA Ek:23.3V Pd:8.61W
古典アンプとして有名な回路は 三極管接続 6F6 パラプッシュ Dr,オルソン アンプでしょうか。
上図は Dr'オルソンアンプの原回路図です。1947年に発表されました。小生は 6F6,6F6G 三極管接続AB1級ステレオアンプとして保有しています。6F6,はメタル管 6F6G ダルマ管を所有しており メタル管はガラス管と異なり金属の外壁です。ヒーターの薄暗い燈火が見えません。その意味もありダルマ型のガラス管 6F6G を実装しています。6F6系にはGT管(ガラスチューブ)も存在します。ダルマ型の真空管 五球スーパーラジオで有名な UY-42 同等管でソケットはUYソケットで6本足です。
オーディオ用途で所有していない電力増幅管として ビーム4極管構造出力管 6L6 は所有していません。6L6 は基準管でありメタル管構造です。この真空管の一回り小型が 6V6 メタル基準管で同じビーム管構造です 。6V6系の真空管は基準管のメタル管 6V6 を含め多種類所有しています。基準管の 6L6 系のシリーズ管としては トッププレートの UY-807, WE-350A,1625 です。ガラス管構造として 6L6GC,5881,などが 6L6系ビーム管として有名です。トッププレート管として 6146B,6146W,2E26を含め UY-807 および 1625 は所有している無線機の送信管の保守管として保管してあります。送信管を使った真空管式オーディオアンプ工作予定はありません。
![]() |
| 左 東芝 UY-807 RCA 1625(VT-136) SYLVANIA 1625 (ST-16) |
上図は保管してある 6L6系トッププレートの通信管です。電気特性はほぼ同じです。UY-807 のヒーター仕様と 1625 とは異なります。807 6.3V,0.9A 1625 12.6V,0.45A であり真空管ソケットは大きな違いがあります。807は5ピンUYソケット 1625は7ピンは 6W-C5 と同じ足数ですがスモール ut と呼ばれ 1625はラージUTとなり共通性はありません。構造違いでは1625の電極下部のガラス製バタフライ部はシールドされていますが 807は存在しません。これらの真空管は無線通信用送信管です。オーディオ用途としては数は少ないと思います。今は西国に旅立った無線仲間で 6G-B6Gp-p (ST-16)ステレオアンプを組み立てて自慢していました。807そっくりです。本来の目的はテレビ水平出力管です。
古い jpeg file から見つけました。今となっては故人(Jh*A*Y)となった同年代の無線仲間による自作アンプです。すい臓がん末期症状でも自宅で亡くなる間際まではマイクを手放しませんでした。6G-B8Gp-p ステレオアンプです。アルミ弁当箱スタイル 小生も若かりし頃 無線機・受信機・アンプはこの弁当箱スタイルでした。画像から想像するに 初段赤メタル管 5693(6SJ7),ドライブ・位相反転管 6SN7GT,電力増幅管 6G-B8Gp-p,と推察です。500W 出力SSB送信機においても手作り品 真空管リニアアンプでした。彼は無線家 小生は無銭家です。
KT-88.6550,6550A, の真空管はほぼ同等管として設計動作することができます。ダルマ型 6550 はDYNACO MKⅢ に搭載されており スクリーングリッドは出力トランスの中間タップに接続されており ウルトラリニア(UL)方式、最大出力 60W 真空管アンプとして有名です。
現在真空管アンプとして完成品として販売されている機器はは 300B, 6C-A7/EL34 , KT-88系を使った真空管アンプが主流と思います。海外ではいまだに少量ですが真空管は製造されており入手が可能です。真空管システム保守が可能ですね。現役の Luxman では輸入品の真空管を選別使用し自社の真空管アンプに搭載されていると思います。
無銭庵 常用スピーカーの紹介
現在所有真空管アンプ 50C-A10 を使ったものは Luxman SQ-38FD しか所有していません。このアンプに接続しているスピーカーシステムは ALTEC LANSING 612C 604-8K 16"Duplex Loudspeaker です。小さな道楽部屋では大きな音で聞くことは不可能です。現在常用使用している真空管式メインアンプはハンドメイド品であり 4種類のアンプで遊んでいます。道楽部屋のスピーカーシステムは 三菱電機製 DIATONE P-610A(BTS)16Ω 16cm×2でしたが スポンジエッジ破損となり 現在は同じ DIATONE P-610FA 16Ω×2 のウレタンエッジ品となっています。マグネットはアルニコ磁石からフェライト磁石となってしまいました。音色については P-610A(BTS)とは少し変化がありました。スビカーボックス形式はフロア型バスレフで内容量は100リットルほどです。高域補正としてコーンツィーターDiatone TW-23 5cmを搭載。
![]() |
| 常用スピーカーシステム |
上記スピーカーの DIATONE P-610A(BTS) のスピーカーは日本放送協会(NHK)スタジオモニタースピーカーとして活用された BTS規格品でした。スピーカーエッジがぼろぼろとなり代用品として後続品を搭載しています。
![]() |
| SP BOXフロア型バスレフ方式 容量約100リットル |
夜間の小音量ではこのスピーカーシステムが大活用します。このようなスピーカーシステムを常用しているためスピーカー最大入力電力として15Wまでとしないと 大出力パワーアンプを使った場合 スビカーを焼損する可能性があります。このスピーカーシステムでの能率は 95dB 程度であり 真空管アンプ出力1W以上もあればリスニングでの不満はありません。近年の80dB前後の能率の悪いスピーカーではありません。
各真空管アンプを駆動しているプリアンプは LUXKIT A3400 STEREO CONTROL CENTER(Luxman CL-30)
System 1, 6C-A7 p-p 三極管接続 リークムラード型 片チャンネル 15W
System 2 , 3C33 p-p 単管双三極管 リークムラード型 片チャンネル 10W
System 3, 6B-Q5 p-p 三極管接続 リークムラード型 片チャンネル 5.2W
System 4, WE-421A A級単管シングル 双三極管 12A-X7A SRPPドライブ 片チャンネル 3W
これらのアンプで道楽部屋では十分な音量でリスニングすることができます、一つのこだわりです。
多少参考になりましたか。自由人のお遊びです。
下記は使用しているスピーカー
![]() |
| 三菱電機製 DIATONE P-610FA 16Ω INPUT 7W×2 フルレンジ・スピーカー |
![]() |
| 三菱電機製 DIATON TW-23 13Ω INPUT 10W 5cmコーン型ツィター・スピーカー |
![]() |
| 四分割セーム皮で修復完了した DAITONE P-610A(BTS) 16Ω 3W |
下図は 通称さんぱち,38(15inch,38cm)同軸スピーカーと 通称ろくはん,六半(6.5inch,16cm)フルレンジスピーカーの大きさの比較です。現代主流の80dB前後 能率の悪いスピーカーではありません。90dB 以上あります。
![]() |
| 左 ALTEC LANSING 16inch 38cm 同軸 604-8K 右 六半 16cm DAITONE P-610A(BTS) 再生品との比較 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)



.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)

.jpg)



.jpg)
.jpg)

.jpg)
.jpg)

.jpg)

.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)

.jpg)
.jpg)
0 件のコメント:
コメントを投稿